森岡さんとのトークイベント その2

 2019.12.30

先月、森岡書店さんでの先行販売会でのトークイベントの備忘録、その①の続きです。 本と関係ないようで、実はおそらく関係あるような質問を色々と投げていただきました。

「もし、すごく長い休みがあって、どこか旅行に行けるとしたらどこに行きますか?」

これに対して、私だいぶ考え込んでしまいました。うーーん、日本の中でも一番遠くに行った土地が香川県なので、もっと九州とか沖縄とか、日本の中でもまだ行ったことがない土地にまず行ってみたいですね。という作家としては大変スケールの小さい答えを。

もし長い休みがあって、というご質問に正しく答えるなら「どこにも行きたくない」だったなと、あとで思いました。本を読みたいし、服を作ったりしたい。家の気になる部分を直したい。外的な旅行より、内的な旅行に行ってしまう。いまは幼児もいて内的な旅行すら思い通りにできないので、さらにその気持ちに拍車がかかっています。

私は、それほど遠くへは旅をしない家に生まれ育ちました。隣の県に旅行するだけでワクワクする大イベントでした。新幹線に乗るのも飛行機に乗るのも、修学旅行が最初。加えて外食もほぼしない。大学の合格祝いだから、とファミレスに連れて行ってくれたのも特別だったような。自営業の父と母は、毎日ほぼ同じ時間に起きて寝る、毎日を淡々と過ごしているリズムの中にいました。あまり大きなイベントはないですが、私は昔から絵をかいたり編み物をしたりで満足していましたし、自分をたどるとそんな子供時代から積み重ねてきたリズムもあると思います。

世界が最後の日だとしたら、という質問も頂きましたが、『普通にご飯を食べて、いつもどおり息子と寝たい』でした。私は普段、今日地震が起きるかもしれない、と2日に1日は考えます。特に遠くへの憧れを感じて悶々とするような日に考えるようにします。すると、今日も何もなくてよかった ありがたや、と逆に心が落ち着いてくるのです。もし天災などが起きなくても、人が年を重ねていけば、この日常だって、いつかは行きたくても行けない場所になります。時間を超えて考えたら今毎日いる場所だって旅行してるとも言えます。

おやつとスプーンの本も、私が自宅で一人で撮影してきたものですし、かなり小規模な本だと思いますが、いまいる場所と四季の掛け合わせでできる小旅行感を表せたらなと、思いました。